私は27歳の時に、統合失調症と診断された。理由はともかく、精神疾患だという事だ。事実、妄想や独語の症状に苦しめられた。その経験から、沢山の統合失調症の患者さんと懇意になったが、一つの傾向として、学校教育の中で、「はしごのてっぺんに登らないといけない。」という意識が強すぎて、実際には、そうできない自分と葛藤を繰り返している傾向がある方々が多くいた。私にはその気持ちや思考は痛いほどわかる。
中学校の高校受験時に、受験勉強に身が入らず、勉強は嫌いではなかったものの無気力な気持ちに襲われていた。受験の為の、模擬テストなども苦痛で、段々と勉強やテストに集中することが出来なくなってきた。担任は志望校をワンランク落とすようにアドバイスをしてくれたが、自分のプライドが許さなかった。
高校に合格し、2日目には実力テストがあった。その時には、既に全くテストに集中出来なくなっていた。テストを前にすると、全く問題が読めない。読んでも理解しようと思えない。そうして、段々とテストを白紙で出すようになった。
そんなこんなで、高校を中退し、今に至る訳だが、私の様な「努力しても勉強に身が入らない。」とか「どうしても学歴にこだわってしまう。」というのは、かなり明確な、負の心理的傾向だと思う。そういう症状が出たら、「単に5月病だろう。」などと思わずに、将来「統合失調症」と診断される事態に発展する可能性がある事を、覚えていて欲しい。精神疾患の回復には長い年月がかかる。もしかしたら、一生を棒に振る可能性もある。
是非、心療内科などに受診し、「生きやすい生き方」に目覚めて欲しい。激しい競争に身を置かなくても、生きられる場所は沢山ある。
ポイントは、精神疾患だと診断されても、「今はそういう状態なんだな。」「先生から見るとそう見えるんだな。」と診断からちょっと距離をおくこと。本当は、価値観が二つに「分裂」していることが大きな原因だと思っている。
自分の強い学歴主義や競争心を克服するために、沢山の職業や経験をした。その事は本当に、自分の価値観を変えてくれた。「とりあえず経験する。」というのも大きなことだ。私はこれを「経験療法」と呼んでいる。
しかし、一旦、「精神疾患である。」と診断されたら、とりあえず受け入れて治療を受けることも大事だ。私は、「学校教育よって後天的な精神障がいに至るケースがある…」という恐ろしい仮説が否定できない。