幼いころから、歌を歌う事が大好きでした。小学校2年生の時から、ピアノと声楽を習っていましたが、一緒に習っていた妹はミュージカルの舞台に立つ仕事に就いたので、結構本格的にしていたと思います。ちなみに、小学校4年生からクラシックバレエもしていました。
でも、高校は受験教育一色の進学校でしたし、15・16歳にもなると、自分の実力は分かりだしました。バレエの方は、日本で本格的に団員を雇って会社にしていて、経営が成り立っているバレエ団はほぼ無い状態でした。
私が17歳の時に、関西では有名なバレエ団の19歳の先生に稽古をつけてもらった時に、余りの上手さと自分の出来なさにショックを受けて、「これはもう、バレエの道は無理だな。」と思いました。
また、歌の方も、高校の音楽の先生が目をかけてくれ、関西の教育系の音楽大学を勧めてくれたにも関わらず、
「音楽で食べて行くなら、有名な音楽大学に行くべきでは?」…などと、ほぼ学校にも行けていないのに、すごく欲どおしい事を考えてました。
また、高校の時に一時は音大に行く為に勉強していましたが、必死に歌・ピアノの練習をする…と言う事をしている内に、心が疲弊していき、「音楽だって所詮学歴なのか。」と白けた思いになりました。
バレエは、今となっては体を絞るだけでも精一杯です。
ただ、27歳の時に音楽大学の短期大学部で学ぶことが出来、その時は、「頑張らないと。」という妙なプレッシャーも無く、音楽を楽しむことを心掛けました。
そんな中でフルートでドイツに留学していた中学校の友達が「ムジカンテン」というイベントを企画していてそれに誘ってくれました。ドイツでは身近な大衆酒場で、一般のお客さんがバイオリンやギター、チターなどを演奏して楽しむ…と言う事が普通の文化だったと彼女は言いました。
そこでは、お食事をしながら(お酒を飲む人もいました)、音楽のプロじゃない、音楽愛好家が集まり、個人個人の趣味を、披露して、聴衆も批判精神を捨ててその場の雰囲気を楽しむ…と言う会でした。
私はクラシックの音楽は、ドレスを着て、暗譜をして、「一生懸命に上手く歌う」と言う事が普通の在り方だと思っていました。「あの子は上手だね。あの子はイマイチ。」など普通に評価を下していました。
でも友達の主催したムジカンテンや、音楽大学にはいるための音楽の練習が凄く苦痛だった時期を考えると、「歌は上手いか上手くないか?」以前に、「楽しめているか楽しめていないか?」が重要なんだと気付きました。
勿論、音楽の側面は、「楽しいか?そうでないか?」以外のファクターもあるかもしれないですが、とりあえず、音楽って「音が楽しい」って書きますしね。
結局、歌の道を断念。27歳で音大に入るも、もう歌い手としては、歳が行き過ぎていましたし、心の中で「舞台に立って歌うということだけが音楽に携わる事でないんだ。」という思いになりました。
まず、「自分が歌えるか?」というファクターだけでみるのはナンセンス。
素晴らしい舞台芸術や歌謡番組のアーティストのみなさんのパフォーマンスを見て、素直に感動する。古今東西のクラシックから、JAZZ、BLUES、シャンソンなどのあらゆる分野の音楽を楽しむ。
よい曲があったら、「YAMAHAぷりんと楽譜」などネットで楽譜を購入できるので、そういうもので楽譜を購入し、歌ったり演奏する。
音楽で食べていく事はできなくても、いちいち人と比べたりしないで音楽と付き合うと、やっぱり、音楽って楽しいな…と感じる今日この頃です。
今の夢は、職場で歌の講座を持つことです。
ただ、私はピアノがネックなので、コードの勉強をして、簡単に伴奏をつけられるようにしたい。そして、歌をみんなで歌う事で、HAPPYな時間を作れる人間になりたいです。
今日の21:00からのドラマ「さよならマエストロ」で主人公が
「音楽には人を救う力がある。」
と言っていたけどその事は、様々な現実と向き合っている今、本当にそうだな…と思います。
16歳の時の「何のために歌うの?」という問いに答えるなら、
「音楽していると楽しいから。音楽って美しいから。音楽って人の心を癒すから。」
そういう風に答えたいなと思います。