エルキュール・ポアロ ナイルを渡る

ナイル川殺人事件

 精神的に落ち着いてきたのでしょうか?「カラマーゾフの兄弟」読了後、数日で2日間で本著を読み上げました。昔、読んだのは覚えているのですが、犯人までは記憶していなかった。

 2020年にリメイクが映画化されて、日本でもコロナ下で上映されましたので、本当はそれが観たかったのですが、本屋でこちらの原作を手に取ってしまい、何だかアガサ・クリスティーが超懐かしくなってしまい、1月に購入したのを、今朝読みました。

 物語は美貌の大富豪リネット・リッジウェイが、友人のジャクリーヌの恋人サイモンを略奪愛で、奪って結婚したことから始まります。物語の中盤で、リネットは何者かに殺害される。しかし、2人に付きまとっていたジャクリーヌには完全にアリバイがある。最後、犯人が分かると、アガサの巧妙に張り巡らした、伏線が、それぞれに展開されていることが分かります。

 リネットの父親にかつて、資産取引で大損害を被った親を持つ令嬢・リネットが結婚することで、資産管理の不正が露呈しないように、新婚旅行のナイル川クルーズに乗り込んでくる財産管理人・
アルコール依存症の小説家の母と娘・盗癖のある老婦人・正体を隠す国際的テロリスト・組織的宝石泥棒…、色々な人が物語を描いて行きます。

 そうですね、「犯人」もあっと言わせるものですが、人間模様・豪華客船に乗った金持ちたちが実は色々な人生を抱えている、「決して幸せではない」という視点が、読ませるんでしょう。

 最後には周辺の人たちにロマンスが生まれたりして、「上手く作るなー。」と言った所。アガサは2回結婚していますが、2人目のご主人が考古学者で、その縁で世界一周旅行に行ったり、エジプトやメソポタミアを訪れて、中近東シリーズを書いたようです。一度目の結婚の時には、精神的に不安定になり、失踪事件を起こします。

 暑いエジプトのナイル川クルーズで起きた、船上の殺人事件。「これ以上の舞台はない」と言った豪華な船旅。

1978年初映画化。
2020年リメイク版。原作新訳。
大富豪リネット巡って…。