「残虐なロシア」「悲劇のウクライナ」だけでは見えない真実

プーチンの野望

 とうとう、手を出してしまいました。「プーチンの野望」。
著者の佐藤優さんは、元外務省主任分析官で、ロシア大使館に勤務してた経歴がある。しかし、2002年背任と偽計業務妨害容疑で逮捕・起訴された。現在は、作家であられて「菊池寛賞」も受賞されている。
 佐藤さんは熱心な創価学会の信者であられて、その戦争観にも共感できる部分もあった。
 しかし、単に「戦争が終わって欲しい。」というような事では無く、今回のロシアのウクライナ侵攻の背景にはいろいろな伏線があり、冷徹非情なプーチン氏が、世界中から批判され軽蔑されたとしても、「ウクライナに侵攻するべきだ。」と行動に出た背景には、冷静な状況分析がある。ロシアが残虐でウクライナが悲劇である…という見方は、日本の感情論で良い結果を生まないとの見解が書かれてあった。

 プーチン氏が最も危惧しているのは、旧ソビエト連邦の独立国が、次々にロシアを離れて、NATOに加盟していることだそうだ。NATOの勢力が大きくなればなるほどロシアの立場は小さくなるし、地政学的にも、四方八方をNATO加盟国、韓国・日本などのアメリカとの同盟国に囲まれることになり、「防衛上にも不利」になって行く。だから、「ロシア帝国」を未だに考えているプーチン氏には、それが許せないのだという。
 ウクライナは、ロシアと反ロシアの対立もあり、かなりの貧国になっていたようだ。また、ゼレンスキー大統領は元コメディアンであり、テレビの影響が強いウクライナで、ドラマ「国民の僕」で普通の教師が大統領になるという主役を演じ、大成功を収めたらしい。今現在の、彼の側近たちもほとんどがドラマ「国民の僕」に出演した元役者やコメディアンだそうです。
 それで、何故ロシアがウクライナに侵攻したかと言うと、そもそもゼレンスキー大統領が、就任後すぐに「NATOへの加盟」を表明したからのようです。プーチン氏としては、帝国ロシアとしては、地理的にもウクライナを手放したくない。
 端的に言うと、ウクライナの背後にいるNATOとアメリカとのつばぜり合いなのかなと思います。
 私には、国を大きくすることがそれ程大事だとは感じられないし、その為に人を殺めても良いと思うこと自体が分からないですが、そう言う事をするのが「人間」なのだと愕然とします。
 一般の市民が、戦火に苦しんでいることを考えると本当に辛いなと思います。

 人類は、「核兵器」という、自らの繁栄を全てぶち壊せる武器を手に入れました。この事は何を意味するのでしょうか?何故、神はそれを許したのか?ある意味の、終末への切符を手にしたのでしょうか?