人にはそれぞれ、個性・特性があり、どの人もそれぞれにその力を発揮して、社会で生きて行く権利があると思っている。今日の日本の学校教育は、順列を競う事に重きが置かれているように思う。そんな中で、存在を否定され、自分を愛することが出来ずに、心傷ついている人も多く見て来た。
また、中には、学校教育の中で、心身症になったり、精神疾患を患う事になった人々も見て来た。8050問題は、いまや現在の事であり、ひきこもりの50代の方々の生活を、80になろうとする親が抱えているという家庭が、地域に知られずにたくさん存在しているような、現代社会である。
私自身も、医師の父と小学校教諭の母を持ち、暗に「頑張って勉強して、医者かそれ相当のひとかどの人になりなさい。」というメッセージを受けて来た。それが、40代になる今でも、自分を苦しめて来た事に、気付いているようでハッキリと気付いていなかった。
17歳の時に、高校中退をしたが、それからは自分が何を求めているか分からず、ただ必死に状況に対応していた。しかし、「なんでもいいから行動して行こう。」という暗中模索の中で、精神保健福祉士の勉強をし、福祉現場に入ることで、「自分がこういう世界が嫌いではない。」とか「こういう福祉現場なら働けそう。」とか色々な発見があった。
そうして、「自分は医者になる勉強も無理にしたくなかったし、弱い立場にいる方や心気傷ついている方々のケアを、自分の経験も昇華しながらしていく仕事が向いているな。」という思いに至った。
そういう特性があるとするなら、それは私への神様のギフトである。
また、今となっては、小児科医である父から沢山の知識や知恵、物事をリベラルに捉える視点を貰ったし、母からは熱い(時には熱すぎる)教育を受けた。勉強にもうるさかったが、手芸や料理の基礎も仕事も合間を見て教えてくれた。また、歌舞音曲・舞台が大好きな母に連れられて、宝塚歌劇や劇団四季などの舞台にも親しんだし、小学校の頃から、声楽やピアノ、バレエなどを習っていた。
こういう教育に賛否両論はあろうけれども、私にそういうものを両親は授けてくれた。
両親の教育が間違っていたとするなら、ベクトルが外「医者になって欲しい」というゴールだったことだと思う。本来なら、ベクトルを私自身の内側に見るべきだったと思う。「この子は、どういうギフトを神様から貰っているのか?」「どういう事が得意で、どう言う事が苦手なの?」というように可能性を見て欲しかったと思う。私の内側は、「誰とも競争したくない。」と言っているのに、「とにかく勉強をして、大学に合格するために日々を過ごす」という高校生活は、本当に苦痛だった。
ただ、音楽やダンスの素養を身につけていたことで、世界も広がったし、勉強も基礎的な事は大事だと今は思う。政治の事や平和を願う気持ちも、両親から貰った。
つまり、「医者になって欲しい。」という両親の願いは、「単に古い」とも言える。「医者だから偉い」とか「父の後を継ぐ」という事にあまり魅力を感じなかった。
「医者になって欲しい」という両親の願いの裏には、「人を治せる技術を身につけて社会に貢献して欲しい。」という崇高な思いもあるにはあるかも知れないが、単に、「医者が偉いから」とか「稼げる仕事だから」とか「ステイタスが高いから」などの理由も含まれていると思う。そう思うと、そんな思いにいちいち私の人生を差し出してはいられない。
高校は中退しても、自分の人生を力強く生きて行く権利があるし、社会の中で自分の哲学を持ちながら、働いて行きたい。
一昔前はブルーカラー・ホワイトカラーなどと言って、厳然たる職業差別があった。しかし、私の中では、「職業はブルーとホワイトしかないの?」という気持ち。「ピンクカラー・イエローカラー・オレンジカラー・レッドカラー・グリーンカラー・パープルカラー」沢山あっていいと思う。
ただ、体が健康なのであれば、何かの仕事をして、友人や家族と助け合い、愛する人を見つけて結婚したり子どもを持つことも、本当に幸せなスタンダードの形だと思う。
私の母は、私に「医者になれ」という暗黙のMessageを送りつつも、片方で「結婚して子供を持て」という要求もあるようだ。普通に考えて両立するのは本当に欲どおしい位な話だ。私は心の中で、「もう結構です。」と唱え続けている。
これからの、日本の若者が、私の様に苦しまない世の中にしたい。彼等が苦しんでいるのも、私と同じだと思う。「自分以外の何かに無理になれと言われても出来ないし、そうしたくもない。」と言うような事では無いだろうか?しかしまた、「生きて行く為に必要なスキル」も沢山ある。
教育者は、目の前の生徒や学生を見る時、「この子はどうすれば、幸せな一生を送れるだろうか?」という大前提を第一に持つべきだと思う。教育者の役割は、子ども達をふるいにかけることではない。
「キリコの毎日から騒ぎ」のホームページは、自分の事を色々と発信してきました。この2・3年の間に、福祉現場で勉強しつつも、私の15歳からの人生のテーマである、「日本の学校教育」についての、思いの整理をしたくて、今回新しいページを作りました。ブログ・フォトギャラリー・本・音楽・映画などのコーナーと共に、「教育」について、真剣に考えるページです。これからもよろしくお願いします。😉