観てしまったので、書かねば…と思うが。何とも、感想に困る。要するに、太宰が理解できない。でも、生きる事に不器用だったのかと思う。「恋だとか愛だ」とか言うけど、なんでしょう?単に普通の生活が受け入れられなかったんじゃないか。「生きる実感」が欲しかったのか。
主演の小栗旬は、30代だと思うが、太宰に対して、「凄くエゴイストで、理解に苦しんだ。」との発言をしていたと思うけど、まあそういう話になりますよね。でも、「ヴィヨンの妻」「斜陽」「人間失格」と書いて行って、その頃からすごい人気で、ダザイストと言って、太宰を敬愛する人が沢山いたし今もいます。
そういえば、精神科の病気で長い間患っていた、WRAPファシリテーター養成の講座を開いている、増川ねてるさんという方と知り合いになった時に、病気と闘っている時に「僕は太宰と中原中也が好きだった。」という話をされていたのですが、「最近、全然読まない。あまり惹かれない…。」と話されていました。(そして、今はアニメにはまっているらしい)
増川ねてるさんは精神病を患っていたけれど、WRAPと出会い元気になって、今は全国各地をWRAPファシリテーター(アドバンスレベル)として頑張っている。そして、WRAP発祥のアメリカにも時々行って、自己研鑽を積んでいる。そんな事をする内に、精神疾患の状況は改善を見せて、現在は生活保護を抜け出し、精神障害者手帳も国に返却して、再婚されてお子様もいる。
そんな、ねてるさんに「太宰の死の匂い」はもういらないのかもしれない。だから、太宰の誘惑は、身近に「死」を感じている人に及ぶけれども、太宰が代わりに死んでくれたことで、その読者は救われるのではないだろうか。そういう意味で、ダザイスト達は、なんとか現世にとどまっている時期もあるのだろう。
ねてるさんも、最初の結婚が破綻して、首つり自殺を図って死にきれず、救急車で病院に運ばれたことだとかそんなことが続いたようです。
太宰の作品については、感想を述べるほど読んでいないので書きませんが、この映画は私にはかなりグロテスクでリアルでした。文学作品にしたら、綺麗かもしれないですけど、実際に観たらこんな感じだろうなあと思いました。
後、蜷川実花監督の独特の色彩感覚も目を引く。ねてるさんは、今でもはっちゃけていて大変そうだけど、周りが支えてくれている。講座の終わりに、飲み会の席で、「中原中也が好きでしたね。」という話を何気にされたので、「ああ。中原中也ですか…。汚れちまいますよねえ…。」と言ったら、笑っていた。
大人になるとはかくも…という感じだ。ちなみに、3人の女たちは、かなり「やばすぎるシーン」をしていたけど、そのシーンを見ても、「ほー。」としか思えない自分も汚れちまったかなと、思うのであった。
個人的には、「二階堂ふみさん」よく頑張った。
「WRAP」はどんな人も作って損は無い、「自分の取扱説明書」です。一応ファシリテーターを持っているから、何かに役立てたいな。